未来を”具体的に”想像する重要性(2)―『俯瞰シート』で実践

どんなことに興味がありましたか?

前回、未来を”具体的に”想像する重要性(1)―6年前の私が描いた「将来の私」というタイトルでブログを書きました。
そこでは、「叶う夢を考える」ということを提唱しましたが具体的に想像できる夢はありましたか?
前回の投稿はこちら

夢=職業でなくてもいい

夢、というと「パン屋さん」とか「花屋さん」というような「職業」を想像する方も多いかもしれませんが、

・こどもの夢をしっかりサポートする親でありたい
・フランスでパン屋巡りをしてみたい
・自分で絵付けをした陶器を作りたい

など、「こんな自分でありたい」「挑戦したいこと」でも大丈夫です。
それが、他人を喜ばせることができたり、対価を得られるようなものだとさらに素晴らしいですが、まずは気楽に考えてみてください。

肩書のないあなたを想像してください

もしあなたが会社員であった場合、会社の看板をはずしてみてください。

会社の看板がなくなったあなたは何者ですか?
「現在」の肩書を外して、自分の肩書を考えてみてください。

・◯◯ちゃんの素敵なママ
・収納名人
・夕飯を素早く作る名人

あなたらしい肩書はどんなものでしたか?いくつあっても構いません。考えてみてください。

それでも何も考えられない方

そんなに簡単にやりたいことなんて見つからない、とか、会社での毎日で精一杯だから考える余裕が無いという方もいるかもしれません。
それでも自分自身に問いかけ続けることが大切なのでしょう。

「我々の人生とは、我々の思考が作る。」
マルクス・アウレリウス(ローマ帝国皇帝)

人生を海に浮かぶボートに例えます。
思考を持たないでいるとそのまま海流に沿って流れていきます。その時の天候次第です。
思考を行い、「志」を持つと、自分の人生にオールを持って進んでいくことができます。
どちらが良いか、考えてみましょう。(と、さっそく「思考」ですね!)

少しやりたいことを考えてみた人

プランニングにあたっては人生を俯瞰してみるためにシートを作ってみることをオススメします。
Excelなどで、西暦、年齡、既に決まっているイベントを俯瞰できるシート(以後「俯瞰シート」)を作ります。
仮に80歳まで生きるとして、家族の分も合わせて並列に作ってみましょう。

【Aさんの例】
ここで、以前私の知人Aさんから相談を受けた事例を元に、このシートを使ったプランニングをしてみたいと思います。
Aさんは35歳の女性。36歳の夫、長女4歳、長男1歳。現在賃貸マンションに居住中です。現在は専業主婦です。
※Aさんファミリーの情報は事実を基に変更を加えています。

Aさんファミリーの「俯瞰シート」です。

俯瞰シート1

 

Aさんは書道をずっと習っています。大人になってからは『アート書道』を始め、現在も先生について指導を受けています。
将来的には「自宅で書道を教える小さなサロンを開きたい」とぼんやり考えています。

更に具体的に語ってもらったところ
「書道とカリグラフィーを合わせたアートとしての書道を大人に教えたい」
「平日の午後、週2〜3回ほど教室を開きたい」
ということです。
イメージは部屋の中央に大きなテーブルを置いて、1回4人位の生徒さんに来ていただき教える感じだそうです。

教室オープンにあたり、『今無いもの』を書き出してもらいました。
Aさんには過去に学んできたというスキルはあります。その他『不足している事項』として以下の3つを挙げてくれました。

1:教室を開けるようなスペースを持った自宅がない
2:教室の宣伝などを行うためのデジタルスキルが無い
3:教室が軌道に乗るまでの資金を貯める

仮で構わないので、まずゴールを決めます。
ここで、大切なのは家族の状況です。
この場合、Aさんは子育てに余裕ができそうな長男が小学生2年生になった時、をゴールとして設定しました。

それは今から7年後。
Aさんは42歳、ご主人は43歳になっています。
子どもたちは長女11歳、長男8歳です。

俯瞰シート2

シートを眺めながらAさんの目標に対して思考を重ねていきます。
まず、『今無いもの』に対して7年間でどのように対処するかを考えます。

1:教室を開けるようなスペースを持った自宅を持つ
Aさんファミリーは賃貸マンションに居住中です。
持ち家にする場合、住宅ローンを検討していますが、40歳を過ぎて購入した場合、定年まで20年を切ってしまいます。
介護保険料の支払いも40歳から開始されます。病気へのリスクが高まり始めるのも40歳からと言われています。
病気になり常備薬が発生した場合住宅ローンを組む際に必須となる団体信用生命保険に加入できないこともあります。
遅い時期に購入した場合、毎月の返済額もUPしますが、その時に出せる頭金が既にたまっている可能性も高いです。
金額は聞いていませんが、貯金は多くはないとのことでした。

また、長女が小学生になってから現在の居住地から離れたところに居を構えることにした場合、転校をしなくてはなりません。Aさんはのんびりと考えていましたが、自宅のことを真剣に考えねばと思い始めました。

2:デジタルスキルをたかめる
現在Lineを利用し、友人とコミュニケーションをとっているAさんですが、大多数の人に情報を公開した経験がありません。
今、趣味でやっているアート書道を公開するブログを立ち上げて、人に見てもらうためのコンテンツをつくる練習をはじめてみることにしました。

3:教室が軌道に乗るまでの資金を貯める
この俯瞰シートを眺めてみて、仮に決めた教室開設時期の『長女の年齡』が気になり始めました。
中学校は私立に通わせたいと考えていたからです。
受験のための準備がはじまっている時期ではないか?
さらに、受験の費用、仮に合格した場合の入学金・学費・・・。

なんとなく7年後をめどに考えはじめましたが、教室でサロンを開く費用、運営費を捻出することが難しいという現実に直面しました。
仕事は長女の出産とともにやめていましたが、住宅取得を始め子どもの教育費の概算を算出してみるとAさんファミリーの場合は何かを諦めなくてはならない状況でした。

どうせ働くならば好きなことを仕事にしたい・・その想いは変わりません。
シートを眺めながら今までなんとなく生活してきたことを後悔していたそうです。

結果こうなった

Aさんはシートを見ながら、仕事を始めたいと思うようになりました。
できれば好きなこと(書道)を仕事にしたいけど・・・と思いはじめましたが、どのようにすればよいのか検討もつきません。
そこで、書道で長年生活をしている先生に情報を聞いてみるようオススメしてみました。

Aさんはお世話になっている先生に「書道を仕事にしてみたいが何をしたらいいのか検討もつかない」と正直に話し、相談してみました。
すると、やる気があるならと先生が運営する会社でアート書道教室のアシスタントをしないかという誘いをいただいたのです。Aさんはもちろん即決しました。
仕事を得たAさんはタイミング良く子どもたちを保育園に入れることができ、平日のみの講師をすることになりました。

自宅サロンでの教室を運営するという夢は今後の子どもたちのサポートの時間をしっかり取りたいという想いから、
生徒さんの都合によって決まるスケジュールではなく、将来的には自分で決められるスケジュールにするため個人で活動するアート書道作家になりたいという夢に変わりました。保育園にも無事に入園できたため、7年後ではなくもう少し前倒しできるのではないかと目論んでいます。
夢が決まると、アート書道家として個人で出展できる展示会を見つけたりと目標に向かって情報を集めて行動できるようになりました。
自宅の購入に関してはまだ決まっていませんが気に入った物件を見つけるまで頭金を更に貯め始めました。
自分自身のブログを立ち上げ、書道作品を公開し始めましたが、今後はWEBサイトを立ち上げて情報を公開していきたいとがんばるAさんなのでした。

【書き換えた俯瞰シート】

俯瞰シート3

 

Aさんの事例はわかりやすく、割と順調にプランニングが進んだ例なのですが、「考えれば自分や家族に都合の良い人生を作れるものだなあ」と実感をしたそうです。
好きなことで仕事につながったことも、Aさん自身の『本音』を思考し続けた結果なのだと思います。
また、ご主人と俯瞰シートを眺めながら「人生」について語り合ったそうですが、これも初めての経験だったとのこと。

ライフプランニングは1人ではなく家族とともにつくっていくものなので夫婦で語り合うということはとても大切なことだと思います。

ムリと思うことも願えば叶うかもしれません。願わなければ絶対に叶いません。
一度しか無い人生ですから、想いを我慢せずにまずは目の前の「白い紙」に書いてぶつけてみてはいかがでしょうか。
書き出してみると客観視できますから!
そして何度でも書きなおしてみてください。私もいつも書き換えてます(笑)

ABOUTこの記事をかいた人

漫画家・イラストレーター。 早稲田大学卒業後(株)三越勤務。結婚を機に退職した後ソニーに勤務。 エンターテインメントロボットAIBOのWEBサイトデザイン・制作を中心にWEB関連の業務を歴任。